「かりゆし」10年で8倍/県外・若者向け戦略必要(沖縄タイムス)
2008年4月29日(火) 朝刊 9面
「かりゆし」10年で8倍/県外・若者向け戦略必要(沖縄タイムス)
以下引用
1989年に「かりゆしウエア」の名称が生まれてから20年目。県衣類縫製品工業組合(大坪慎治理事長)の28日までのまとめによると、2007年のかりゆしウエアの生産数は37万4424着と10年前の約8倍に増えた。生産が好調に推移する一方、関係者からは「今後の展開をどうするか、業界全体として明確な戦略が描けていない」との指摘もある。(前田高敬)
生産が大きく伸びた要因として挙げられるのは、2000年のサミットや05年以降の「クールビズ」の広がり。最近5年間の平均伸び率を見ても10%超の「高度成長」が続いている。
07年は対前年比で2年ぶりのマイナスとなったが、業界内には「一時的なもの」(大坪理事長)との楽観的な見方が強い。
県は中央官庁などでクールビズが始まった05年以降、県外販路の拡大などに重点を置いた支援を行っている。開襟シャツのみでなくボタンダウン式が増え、小ぶりな絵柄や淡い色遣いが増えるといった最近の変化も、こうした県外市場や若者向けの販売を意識したものという。
一方で、かりゆしウエアの実際の販売枚数や売上額などは「各企業の企業秘密に触れる部分もあり、分からない」(同組合)のが実態だ。生産数も組合が発行する「竜柱」図柄のタグの枚数で把握しているにすぎない。
関係者は「売れ行きが分からないのでは、今後の長期戦略も立てられない」と先行きを危惧しており、業界内の足並みはそろっていない。
もともと「沖縄らしい観光を演出」するかりゆしウエア。環境への効果をより重視したブランド化に活路を見いだそうという動きもある。
同組合は貝殻を使ったボタンや、月桃、サンゴの利用などで「人と自然を大切にする」かりゆしウエアの普及を目指す。
実際にこれらの素材でかりゆしウエアを製造する業者はまだごく一部だが、同組合の伊良波勲事務局長は「いずれはウエアの収益でサンゴを植えるといった『循環型』産業を目指したい」と構想を語る。
観光から環境へ。“成人”を迎えたかりゆしウエアの脱皮の動きが、今後注目されそうだ。
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