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’05展望 温暖化対策 足踏みは許されない(中国新聞 社説)

’05展望 温暖化対策 足踏みは許されない '05/1/8
───以下引用───
 地球の慢性病ともいえる温暖化。主因である二酸化炭素などの排出削減を先進国に義務付けた京都議定書が二月に発効する。一九九七年に議定書がまとまった後、米国の離脱などで発効が延び延びになっていた。日本の対応は足踏み状態にあったが、もう遅滞は許されない。今年を割り当て削減枠の達成へ具体的に踏み出す第一歩としたい。

 温暖化は、大気中に増えた二酸化炭素などが太陽熱の反射を阻害して温室化する現象だ。南、北極などの氷がとけて海面が上昇したり、異常気象が引き起こされると生態系や人々の生活に与える影響は大きい。

 二酸化炭素が出る大本は石油、石炭といった化石燃料である。電気、自動車などに大量使用されて生活の利便に大きく寄与しているだけに、排出量の削減は国民、企業、国のいずれの領域でも容易でない。未来世代に責任を負う世界共通の重要課題との認識が要る。

 その成果が京都議定書である。日本の場合、二〇〇八―一二年に一九九〇年比で6%削減することが国際的に義務付けられる。ところが〇二年実績では、逆に8%増えている。このため、早くも達成は難しいとされたり、ロシアなどから削減枠の一部を買い取るといった消極的な対処法が取りざたされている。

 第一次オイルショックを機に、世界に先駆けて省エネ技術開発を進めたのが日本である。その成功体験を持ちながら、排出削減への動きがいまひとつまとまらないのは、なんとももどかしい。

 背景には最大の排出国である米国が批准しておらず、また途上国対策をどうするかなどの課題が残っている点がある。二酸化炭素は化学的処理が難しく、削減コストがかさむことも一因だ。個別の利害関係にとらわれていたのでは、前へは容易に進めない。まず国家的な大枠の対応策の確立が肝要である。

 削減対策の先進地域、欧州では二酸化炭素などの排出に税金を課す方法がいくつかの国でとられている。欧州連合(EU)全体では既に九〇年比マイナスに転ずるなど一定の効果を上げている。EUの人々の環境に対する取り組みには歴史の積み重ねがある上、地理的、気象的条件もあると聞く。

 日本も環境省が同様の「環境税」を構想し、今年から導入論議が本格化する。経済産業省や経済界には、課税が重いと企業経営への影響が避けられないとする懸念が根強い。一方、課税が中途半端な形になると削減効果が出ないとする意見もある。

 これらの論議を聞いていると、ひと昔前の経済成長か環境保全かといった二者択一の論争を思い起こす。そうではなく、排出削減に地道に取り組むことが経済全体にもよい刺激をもたらすと受け止めたい。

 途上国の生活水準が上がれば、地球全体の潜在排出量はさらに膨れあがる。それを抑制、削減していく技術とソフトに対する需要は急速に拡大するに違いない。

 政府にとっては「環境税」の使途などを明確にして国全体をとりまとめる政策遂行能力を問われることになる。京都議定書を順守してこそ米国への説得も力を持つはずだ。
───以上引用───
中国新聞 社説
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh05010801.html